ある意味正解、ある意味不正解

この前、小説を読んでいたら、そこに出て来た会話がちょっと気になりました。外観は全然イケてないんけど、その味が絶品だという食堂が舞台なんですけど、そこで一人のお客さんが「人も料理も外見ではわからない」と言っていたんです。その一説を読んだ時に私は、正直「そうかなぁ?」といった気持ちでした。その言葉はある意味正解だとは思いますけど、別の見方をすれば不正解だと思うんです。たしかに、外見は怖そうでも、話をしてみるとすごく優しくてイイ人だったということがあります。また、B級グルメの中には、見た目はイマイチだけど『味は絶品』なんていうものもありますものね。けど、今までにビジネスの講習などでは、第一印象が大事だと教え込まれてきました。ほんの数秒で人の印象は決まるものだって。ご馳走だって、運ばれてきた瞬間に「わぁ、美味しそう」って思いますよね。そして、食べたらやっぱり美味しいんです。そう考えたら、『どっちもアリ』というのが正解なのかな。
でも、小説に「器の良し悪しと料理は比例する」という言葉も出てきたんだけど、これはほぼ正しいように思います。小説の舞台になっている食堂も外見はどちらかというと寂れているけど、一流の器を使っているのを見て、初めて訪れた女性が「きっと料理は本物なんだ」と期待をしたんです。やっぱりこだわりの料理はいい器に盛って出したいというのが、真の料理人の心なんだと思います。