世の中には甘えるのが上手な人がいますよね。そんな人が嫌味もなくサラッとお願いごとをしたりするのを目の前にした時には、本当に羨ましくなってしまいます。私もあんな風に上手に甘えられたらいいのにって。どちらかというと、私はそういうことが苦手です。あえて、「よしっ」と意識をしてしまうから、なんだか取ってつけたような感じになってしまって、不自然極まりないんです。
今、読んでる小説の主人公も甘えることが苦手な女性です。でも、同い年の青年との出会いがあって、彼にだけは甘えられると言うんです。彼が100%自分を受け入れてくれて100%甘えさせてくれると出会ったその日から感じ始める彼女の心理描写が、なんとも艶めかしいんです。表に出してはいけないような心の奥底の声が文字となって目に飛び込んでくるからかもしれません。彼女と同い年の青年は、感情を露わにする人ではなく、常に冷静な、それでいて温かいと表現してあります。いけない事をしたときには、きっちり叱ってくれるし、褒めるときには頭に手を乗せてくれる。それは天にも昇るような居心地の良さなんです。でも、その感覚がなんとなく私にはわかります。そんな風に扱ってもらえて心がトロけそうな感覚になったことが私もあるんです。物語がどんな風に展開していくのか、今、一番興味のあることです。