お昼時の本屋さん

友達が働いている会社が入っているビルには、ショップエリアがあるそうです。そこには100円ショップや旅行代理店、コーヒーショップにアイスクリーム屋、飲食店など幅広いラインナップのお店が並んでいるため、昼休みを過ごすには最高の場所だと話してくれました。どのショップも無くてならない存在らしいのですが、取り分け本屋がお気に入りらしいです。マンガや雑誌、小説などのジャンルがくまなく網羅されており、ランチを食べた後に立ち寄って書籍をチェックするようにしていると話してくれました。また彼女のような人は多いらしく、そのビルや近隣で働くサラリーマンやOL達が真剣に本を選んでいる姿をよく目にするとのこと。その友人も私と同様に読書を愛しており、立ち寄ったついでに購入することもしばしあるそうです。読書好きにとって、気軽に立ち寄ることができる本屋が近くにあることはありがたいものです。またラインナップが豊富であればあるほど、たくさんの作品と出会うことができるのも嬉しいことだと感じます。
私も彼女の話を聞いてからというもの、昼時に書店へ足を運びたくなりターミナル駅にあるブックストアへ行ってみました。近くのビルから出てきたオフィスカジュアルに身を包んだOLやサラリーマン達の姿を目にしていると、思い思いの休憩時間を過ごしていることに好感が持てました。みんなどんな作品を買うのかと思いを巡らしながらも、いつしかカーディガンを肩に羽織り、財布を持ってお洒落なカフェでランチをしているOLの姿が浮かんできました。そんな時、小脇に海外文学の単行本などを抱えていたら粋だなと思うのでした。

平成生まれのノスタルジックな小説達

本日完読した本には、文章を書く仕事を生業にしている方々が手掛けた作品が詰まっていました。今からおよそ20年前に発売されたもので、平成に突入してまだままない頃に世に出回った本でした。イラストと小説から構成されており、ノスタルジックで人々の繊細さと心の移り変わりを描いたものが多かったことが印象に残っています。そして20年の歳月は社会的にも自分自身も大きく変動を遂げたことを強く感じたのでした。
鉄道会社のキャンペーンの一環として、中吊り広告のポスターに連載されていた小説が集約されたということもあり、電車にまつわるものやその風景が題材になった小説からは、訪れたことのある駅や見たことのある町並みを思い出すきっかけともなり、非常に親しみを感じることができました。著者も今や音楽プロデューサーとして断固たる地位を確立した男性や散歩や街歩きの随筆を世にたくさん送り出している作家など、個性溢れるメンツが揃っていたことも感慨深かったです。
発行されてから20年という時が過ぎましたが、今読んでも心に染み渡る逸品たちばかりでした。日頃使っている電車からの風景や光景を書いた物語は身近に感じたし、いつかこの本に登場した町に降りて散策したいというまだ見ぬ場所への憧れに駆られたものです。
風景や光景も去ることながら男と女、親子、友達と様々な関係通して、心がとても温かくなり明日からもまた頑張れそうな気持が湧いてきました。どんなことがあっても掲載されていた小説達のように日々のささやかな出来事を大切に生きていれば、人生はもっと素敵なものになると感じることができたことは私の財産となったのでした。