美味しい小説

小説には色んな種類があって、中には料理や食べ物が題材になっているものがあります。読んでるだけで、その料理が目に見えてきたり、いい匂いがしてきたりします。もちろん、自分が知らない料理は勝手な想像をするわけだから、本当の物とは異なったものをイメージしているときもあるとは思うんですけどね。今、読みかけている小説もそうなんです。京都が舞台なんだけど、エピソードごとに何かしらのお料理や食べ物が出て来ます。京料理もたくさん登場するから、私の頭の中は勝手な想像といわゆる『はんなり』したイメージが出来上がります。物語は衝撃の事件があるわけでもなく、小川が流れていくような感じで優しく穏やかに進んでいくんです。こういう小説ってヘタすると退屈だったりするのに、この物語は全然退屈ではありません。美味しいご馳走をゆっくりと味わうように、登場人物の心の通い合う様子や心の動きを楽しめるんです。たまには、ドキドキやワクワクでのめり込むような物語ではなく、ゆったりと癒されるようなものもいいですね。そんな中では大事件じゃなくて、ほんの小さな出来事が心をつかんで止まないんです。まだ読み始めたばかりだから、読破するにはもう少し時間がかかりそうです。でも、もう完全にハマっています。だから、これからの展開が楽しみで仕方がありません。